体験談 北川亘太 〜古武術から揺禅で覚醒

体験談 北川亘太

私は、小学生の時に習った剣道にはじまり、剣術、居合といった武道や古武術を稽古した経験があったので、武術としての太極拳に興味があり、アクティに入会しました。アクティで習うことができる気功や揺禅のメソッドは、身体を効果的に開発する技法でした。
私は、過去に行政官として働いていました。あまりの忙しさに、武術を稽古する時間が全く取れなくなり、いつのまにか武術の情熱を失っていました。また、不摂生な生活がたたり、身体がボロボロになっていきました。研究職に転職したことを契機に、気分転換のためにアクティに通いだしました。ただ、入会した時は、武術の稽古が懐かしく、形だけでもなぞっていたいという動機しかなく、自分の向上に関しては完全に諦めていました。
「致柔気功」や「立禅」といった統合太極拳のクラスで教わるメソッドを試していったところ、身体が少しずつ回復してきたような気がしました。劇的に変わったのは、初めて揺禅クラスに参加したときです。揺禅クラスの次の日、身体の芯が重く、強い眠気が続きました。気だるさがとれて教室に向かうと、先輩にあたる方から、「動きが急に良くなった」と言われました。自分の動きをよくよく観察してみると、太極拳の運用に合わせて、身体の各部分がなめらかに連動するようになっていました。その後も、揺禅クラスの受講や自主的な揺禅の練習を続けたところ、柔軟さが定着しました。面白いことに、柔軟になったのは身体の表面ではなく、奥のほうでした。ですから、ストレッチを十分にこなしている人と比べると、確かに曲がる角度は小さいです。でも、身体の奥から動くことで、力が抜けていながらも、重たい動きができるようになりました。
たった一回の参加で起こったこの変化は、私が剣道や居合をやっていたときに求めていた変化でした。体の柔軟性が欠けている私は(おそらく心の柔軟性も足りないのだと思います)、試合や表演では上位に食い込みつつも、いつもセンスある選手に敗れてきました。表演でたまたま全国優勝したこともありましたが、カチカチな自分の技をビデオで見てガックリしました。力が抜けていて滑らかでありながら、柔軟な力を発揮すること(そして柔軟な発想を通じて試合運びを掌握すること)は、私にとって、20年間ずっと続いた課題でした。しかしながら、具体的で即効性のあるメソッドを発見したり、構築することはできませんでした。体の奥から動くということを意識しながら何十年も稽古することで、ようやく身につくものだと考えていました。たしかに、そうして身につけた動きには、数十年の経験にふさわしい隙のなさや練りが宿っていると思います。ただ、仕事の都合上、日々の鍛練を継続できなかった私にとって、もはやそれが身に付く可能性はほとんど残されていません。アクティの具体的なメソッドに従うと体の奥が揺り動かされ、自律してくという経験は、私の武術への情熱を再び燃え上がらせました。できる限りの時間を費やして努力することはもちろんのこと、練習の中で、効果的なメソッドを構築していくことがいかに大切かを思い知らされました。
たった一時間の参加で身体能力が飛躍的に向上するという経験は、武術を志す者として心躍るだけでなく、生活全般の中でみても滅多に起こらないことなので、「自分はまだまだ変わることができるかもしれない」という希望や日々の意欲につながりました。
アクティでは、他にも、身体の中心軸(正中線)の意識を高める方法や股関節を緩める方法など、技を繰り出すうえで基礎となる身体能力を高めるメソッドがいくつもあります。私は現在、これらのメソッドを通じて、基礎能力を一つ一つ正確に高めていくことが、修練の近道だと信じて取り組んでいます。

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