抗うつ剤からスピード離脱!研究能力も大幅アップ!

◆K.S さん 25歳
太極拳を始めたのは、当初は健康のためでした。私は国立大学の博士課程に在籍している大学院生ですが、研究成果が上がらないことのストレスから、精神面の不調が続いていたのです。うつ病と診断され、底なし沼に沈んでいくような気分で日々を過ごしていました。強い抗うつ剤を処方されていましたが、主治医からは、研究のストレスから距離をとるために、休学をするという選択肢があると提案されました。「底期から回復し始めるのは、まだまだ時間がかかるから、じっくり療養しましょう」と。
それでも、体を動かすことで不調を緩和したいと、アクティクラブで気功、統合太極拳、楊家太極拳、揺禅を始めました。すると、数か月で精神の不調がとれました。主治医は大変驚いていましたが、薬も必要無くなり、病院も行かなくなりました。
そればかりか、普段の研究生活にも良い影響が表れています。
例えば、姿勢が良くなり、また血行が良くなったことで、集中力が格段に上がりました。15分ほど気功(致柔気功という3種の立禅と7つの気功の型)をすると、数時間は集中力がきわめて高い状態で研究することができます。目の前の研究に腰を据えて取り組んだことで、押しつぶされそうな不安感が徐々に緩和されました。それにともなって、発想が豊かになり、自然と研究成果が出るようになってきました。
加えて、プレゼンテーションの技術が自分でも驚くほど向上しました。少し極端な言い方かもしれませんが、指先まで芯の通ったようなジェスチャーを自然にするようになり、聴衆の注目を集めることが無意識にできるようになってきました。具体的には、致柔気功の「八卦八勢」という簡単に覚えられる気功が、柔らかくも堂々として見える姿勢を作ることや指先まで神経を通すことに非常に役に立ちます。
さらに、プレゼンテーション中は、場の雰囲気を落ち着いて感じ取ることで、目線、言葉の強弱、間の取り方が的確になり、場の空気の流れをある程度コントロールできるようになりました。これは、立禅や揺禅を通じて気の運用を学んだ効果の具体的な表れだと思います。フランスでの学会では、ある聴き手から、プレゼンテーションの技術に関して Excellent! と褒めていただきました。また、オランダの学会では、主催者から Good job! と喜んでいただき、その方から、プレゼン技術と研究の調査能力(インタビュー調査や現場調査などの、いわゆる足を使った調査の力)を買われて「私の大学に留学しないか」と誘われ、快諾しました。
その上、これは太極拳の効能だと証明することはできませんが、太極拳を初めてから数か月後くらいから素晴らしい人との出会いが続いていますし、思いがけないチャンスが舞い込むようになってきました。例えば、インタビュー調査の成否は、有用な情報をもっていることに加えて、私のインタビューに進んで協力してくださる人と出会えるかどうかという、ある面では運の要素が関わってきます。そのような人との出会いが、最近になって劇的に増えてきました。もちろん、インタビューに際しては、事前勉強を十分にする、信頼してもらうよう人間性を磨こうとする、といった努力の要素も大きいことは間違いありません。ただ、努力だけでは説明しにくい、素晴らしい出会いが多くなってきました。また、後々10年後くらいに舞台に上がることを夢見ていた学会から、発表してほしいという依頼がきました。幸運な条件が重なってのことでした。残念ながら、十分に練られた研究が発表できたとは言えません。錚々たる発表者たちの中で、研究内容に関する私の未熟さは際立っていたと思います。ただし、一つだけ、思いがけず叶った夢があります。私が尊敬している学者がその発表を聴いてくれました。ヨーロッパでは重鎮です。その方が、ただ一人、私が提示したアイディアについて、That’s it!  と手をたたいて共感を示してくれたのです。今後はより良い発見を提示したいと、研究意欲が湧き出てくる経験でした。
現在は、研究者として本物の実力をつけるべく、気功、太極拳、揺禅の良い面をさらに引き出そうと工夫しています。「体操をやって頭が良くなるの?」と首をかしげる人が多いかもしれませんが、瞑想やエクササイズで集中力が上がるのはスタンフォード大学の研究でも明らかですし、簡単な体操でも脳内の血流が大幅に増大し、記憶力が向上することも分かっています。瞑想効果があり、高度なバランスエクササイズである揺禅、気功と太極拳の高い効果は疑うことができないものです。少なくとも私は、集中力や発想力、プレゼン能力が死活的に関わってくる職業人生を生き抜くためのファンダメンタル(基礎となる身体や精神)と表現技術(例えばプレゼンテーション技術)を持てました。これからは、太極拳を実生活に役立てる方法を、知恵ある教室生の方々と検討し合いながら、磨きをかけていきたいと思っています。

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